他の自然エネルギーの利用と比べると

ところで、他の自然エネルギーと比較すると地中熱利用ヒートポンプシステムはどのような位置付けなのでしょうか?
以下に思いつくまま代表的な自然エネルギー利用システムとの比較を独自に表にまとめてみました。

  季節変動 日間変動 設置場所 問題点
地中熱利用
ヒートポンプ
極めて安定 極めて安定 削孔が可能なところ。 発電するためのものではなく熱エネルギーを取り出すための装置である。この動力源に電力が必要で、他の発電方式との連携が必要。
水力発電 変動する 安定 ダムの設置が可能な場所。 二酸化炭素削減には規模的な面や発電コストの面で非常に有効であるが、最近ではダムが設置される河川流域の環境を大きく変えてしまうといわれ建設が難しくなってきている。このため将来的に電力量を増大させるのは難しそうだ。
地熱発電 極めて安定 極めて安定 高温の蒸気が埋蔵されている場所、火山地帯。 設置が可能なところのほとんどには、既存の温泉があったり、国立公園の中であったりと、設置できる場所は極めて限定される。
太陽光発電 変動する 変動する 年間日照時間が長いところが望ましい。 電力需要が高いときに発電量が増えると言う理想的な発電方式であるが現時点では他の方法と比較し発電コストがかなり高い。また、太陽光はエネルギー密度が低いため発電量あたりの設備面積が他の方式に比較して多く必要。
風力発電 変動する 変動する 年間を通じて安定した風速があるところが望ましい。 安全性や騒音の発生などを考えるとある程度広い敷地が必要となる。また、稼動部品があるため定期的な保守点検が必須であると思われる。安定した風向や、風速が得られるは場所はある程度限られている。

この比較表からわかるように安定した運用が見込め、設置場所に対する制約がゆるいものは、「地中熱利用ヒートポンプシステム」、「太陽光発電」が候補として残ることがわかると思います。

しかし、太陽光発電の場合は、太陽電池パネル自体の効率、面積、そして、日照時間に応じた発電を行うため、良好な日当たりが期待できる屋根面積が少ないビルやマンションなどの建物や、良好な日照時間が得られない地理的問題を抱えているような場合、どうしても効果は限定的なものになってしまします。このような条件下でも、日照とは無関係な地中熱利用ヒートポンプシステムでは充分な効果を期待することができます。また、仮に太陽光発電を取り入れたけれど意外と買電量が多かったような場合でも、地中熱利用ヒートポンプシステムは、電力の利用効率を上げることを目的としたシステムであるため少ない発電量を有効に利用するための手段としてもご利用いただけます。

また、「利用するためのエネルギーが必要である」と言うことを問題点としてあげていますが裏を返せば、電力が利用可能で、削孔が可能なところであれば、地理や気候に関係なく設置が可能なため従来の自然エネルギーとは違った方向から多くの家庭や、事業所に設置が可能であると言えます。将来的に他の自然エネルギーの発電コストが大きく下がり、気軽に家庭や、事業所で利用できるようなことになり後から取り付けることになっても、地中熱利用ヒートポンプシステムでは、発電された電力がそのまま利用でき、より運転コストを下げる働きもありますので一度設置した設備が無駄になることはありません。

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