ファインバブルとは

「ファインバブル」は、気泡のサイズによりマイクロサイズの「マイクロバブル (Micro-Bubble: MB)」とナノサイズの「ウルトラファインバブル(Ultrafine-Bubble: UFB)」(以前は「ナノバブル」と呼ばれていた)の2 種類に分類されています。これらは、単に気泡が小さいだけでなく、普段目にする数mm の気泡(ミリバブル)とは異なる様々な特徴を持っています(表1)。

表1 ファインバブルの定義と特徴

表1 ファインバブルの定義と特徴
ファインバブルの効果については、現時点でメカニズムの解明・検証が完了していないものがあります。

見えない泡!

  • 水中のUFB は目に見えませんが、レーザーポインターの光をあてるとレーザー光を散乱するため、その軌跡を確認することができます。

UFB は肉眼では見ることができません。
したがって、UFB が含まれる“UFB 水”を見ても“無色透明”に見えてしまいます(写真1)。
これは、UFB の気泡サイズ(ピークが100 ~ 200nm)が可視光線の波長よりも小さいため、光が殆ど散乱しないためです。

光学的に観測することができないという特徴のために、これまでは液体中でのUFB の存在が明確になっていませんでしたが、ここ数年で測定方法が確立され、効果のメカニズム検証が進んできました。

浮かない泡!

ファインバブルの特徴のひとつが水中での上昇速度が非常に遅いというものです。
通常のミリバブルは水中で急速に浮上し、水面で破裂しますが、MB は非常にゆっくりと上昇し、気泡内の気体が完全に溶解すると、水中で消滅してしまいます。ここで気体が溶け残った場合は、さらに気泡サイズが小さくなり※、UFB となります(図1)。

上昇速度を比べてみると、例えば直径10 μm のMB の場合、上昇速度は一般的な1mm の気泡と比べて1/2000 程度です。
この速さであれば、水の流れを活かして気泡を広範囲に拡散させることも可能です。
さらに小さな直径1 μ m 未満のUFB になると、気泡は浮遊せずに液中に留まります。
条件にもよりますが、液中で数週間から数ヶ月間の長期残存性能があるともいわれ、この性能は様々なことに応用することが可能です。

図1 ファインバブルの生成プロセス

  • 球形の気泡に働く界面張力は、内部の気体を圧縮する力として機能(自己加圧効果)し、その力は気泡径が小さいほど強くなります。
    これにより、マイクロサイズの気泡(MB)は浮上しても膨張せずに収縮していきます。

ファインバブルの効果

ファインバブルの見た目に関する特徴について前頁で説明しましたが、それ以外にもファインバブルには様々な物理的な特徴があります)。それらの特徴を上手く組み合わせることで様々な効果を得ることができます(表2参照)。
活用方法次第では、従来使用していた薬品や化学物質が不要になる可能性もあり、環境配慮面の効果も期待できます。

表2 ファインバブルの代表的な効果

気体溶解効果

ファインバブルを活用すれば、液体中に気体を多量かつ効率的に溶かすことができます。
これは、気体溶解量に大きく影響を及ぼす単位体積あたりの液体との接触面積が大きいことに加えて、気泡内部が高圧で気体を溶解しやすいというファインバブルの特徴を十分に活かした効果です。

気体封入効果

活用の幅が大きく広がりつつあるのが、UFBが液中に長く留まることを活かした「気体封入効果」です。気泡の中に目的に応じた気体を封入することで、ファインバブルに更なる機能を付加することができます。
例えば、オゾンは強力な洗浄殺菌能力と有機物分解能力を持っており排水処理などに活用されていますが、これをUFB に封入すれば含有濃度が高まり、処理効率を大幅に向上させることが可能となります。
医療分野での活用や香りの封入など新しい使い方も続々と開発されていますが、本効果は従来から知られている効果の増強や持続性の向上を高める可能性があります(図2)

図2 ファインバブルに封入する気体とその機能

生理活性効果

「生理活性」は農業や医療・健康分野などで注目されている効果です。
UFB は植物の根などから吸収されやすいため、酸素等を植物に供給するための効果的な手段となります。植物の成長が促進された事例も数多く報告されており、特に生育コントロールなどを厳格に行う植物工場やビニールハウス等での活用が期待されます。

その他の効果

ファインバブルの電気的特性やMB 消滅時に放出される高エネルギーなどによる「吸着効果」や「洗浄効果」も、事業レベルでの活用が始まっています。

泡のサイズとその効果

効果の中にはMB・UFB のどちらでも得られるものがありますが、活用する場面に応じて最適なサイズの気泡(MB・UFB)を選択することが重要です。
例えば、広範囲にわたり気体を溶解させたい場合は、気泡発生効率の面でMB の方が優位になることがあります。逆に、水槽のようなところに、飽和量を超えて気体を溶解させたい場合はUFB が優位になるかもしれません。

ファインバブルの発生方式と発生装置

非常に微細な気泡を発生させるために、様々な方式が考案されており(表3)、メーカー各社からMB・UFB の発生装置が販売されています。
UFB の発生方式については、UFB を直接発生させる方式もありますが、気体を高速でせん断する「高速旋回液流式」と加減圧を活用する「加圧溶解式」が主流です。

表3 ファインバブルの主な発生方式

  • MB とUFB を同時生成する方式は、生成した液体を繰り返し処理することで高濃度のUFB を生成する「バッチ処理」の採用が一般的です。
    装置の選定に当たっては、予めバッチ処理の時間等を確認することも重要です。

ウルトラファインバブル粒径分布

ウルトラファインバブル粒径分布グラフ

メディア・資料

ウルトラファインバブルの紹介映像

一般社団法人 ファインバブル産業会(FBIA)
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