地中熱利用ヒートポンプシステム

それでは、ここで今までの話を簡単に整理してみたいと思います。

  • 地球温暖化には特に二酸化炭素の排出を削減していく必要がある。
  • 二酸化炭素排出量の削減には化石燃料の使用を減らしていく必要がある。
  • 民生部門に関してはより快適な生活を求める傾向にあり、それに伴い消費エネルギーが増加している。
  • 家庭内では、エネルギーを熱に変換して使っている割合が約6割となっている。
  • 熱を得るためにはヒートポンプを使うことが非常に有効である。
  • 大気を利用したヒートポンプには気温が低い時には効率が悪くなると言う弱点がある。
  • 地下水の温度は年間を通じてほぼ一定である。

これらのことから、地球温暖化のを阻止するための一つの手段として地中熱を利用したヒートポンプの利用が非常に有効であるということがわかります。

これまでの話で、「地中熱利用ヒートポンプシステム」と言うものは実際にはどんなものなのか興味が湧いてこられた方もいらっしゃると思いますので簡単に説明します。
下の図はどのようなことができるのかということをまとめたものです。
この図のように地中熱の抽出を行うための井戸を掘りその中に熱交換用のパイプを通し大地そのものを、空気利用エアコンで言うところの室外機として使用します。
このヒートポンプで得られる熱は暖冷房等に利用が可能です。
また、ヒートポンプにより給湯もできますのでお風呂や、炊事、床暖房も低ランニングコストで可能です。

地中熱利用ヒートポンプシステムでは、運転中に廃棄物は出ないのでサイフにやさしいだけでなく、環境にやさしい快適な生活を送れます。また、稼動部品も少ない上に通常は、地上に装置自体を設置しますのでメンテナンスの費用もかなり安価でできます。

ヒートポンプは先に述べたように熱を取り出すのに非常に優れた性能を発揮します。
成績係数COPは、おおむね3.5~4程度と非常に高いエネルギー効率を示し、しかも、この値は、外気温の条件がいいとき(室内と外気の温度差が少ないとき)のみの値ではなく一年を通じてほぼ安定してこの値が期待できます。

また、空気を利用したヒートポンプでは、夏場室内の熱を取り出し室外に放出するためヒートアイランド現象を助長する原因の一つになっているのではないかと疑われていますが、地中熱を利用したヒートポンプでは、排熱は大地に行われるためにヒートアイランド現象の緩和につながるのではないかと期待されています。

空気を熱源としたヒートポンプでは、冬場の暖房時には、低い外気温によるデフロストをはじめとする効率低下の問題を抱えていましたが、地中熱を利用したヒートポンプでは、一年を通じ温度が安定しているだけでなく人間の快適温度に比較的近い地中の熱を利用するためこの問題は発生しません。

以下に簡単にヒートポンプにおける空気の利用と、地中熱の利用を独自に比較した表を示します。

熱源 地中熱 空気
夏季の運転コスト 安価 普通
冬季の運転コスト 安価 気温が5℃を下回るような場合は劣る。
15℃以下では運転ができない。
設置コスト 現在は、高価であるが普及が進むにつれ安価になると思われる 普通
CO2の発生 より少ない 少ない
運転音 室外機の運転音が低い分静か 普通
快適さ 良好 良好

現在普及のネックとなっているのは設置コストが高いことですが、NEDOの調査によると個別住宅で約 12年程度で初期設置コストが回収できるとの試算例もあります。 現在、産学官が足並みをそろえてこの分野に取り組んでいることから今後設置にかかるコストの問題も 次第に解消されていくものと思われます。

なお、地中熱利用ヒートポンプシステムの設置時のコスト上の問題点の多くは、地中熱を交換するため の井戸の掘削工事に費用がかかる点だと一般に言われています。 しかし、当社を含む各企業の努力によりリーズナブルな掘削工法が開発されています。

ゼネラルヒートポンプ株式会社製
地中熱源排熱回収型冷暖房給湯器
岩手県環境保健研究センター
地熱交換井掘削風景
ここでは、弊社製急速削孔機ECO-13Vが使用されました。
地熱交換パイプ
地中熱交換井に挿入されます。
ワイビーエム岸山工場
地熱交換井掘削風景
「地中熱利用空調システム」施工状況の公開より
ページ上部へ